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Channel: Consideration
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ヒールとしての可能性

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そんな映像を流していいのか、そんな写真を公開していいのか?一瞬ためらった。ハラが行った、カバーニに対する挑発の決定的瞬間。せめて何かをしている雰囲気を匂わす程度にしてほしいほどに、はっきりと映し出されている。物的証拠としての価値はあるがあれはまずい、とにかく中指がまずい。破壊力のあるワンカットだった。ハラは、試合直後から安易に話せない状態に追い込まれて沈黙。カバーニも同様に沈黙、こちらも安易には話せない。お互い何かを発すると、逆に新たな問題を生み出しかねない状態にある。だが、無言の当事者2人の周囲はすでに慌ただしい。ハラに一度出された3試合の出場停止は、チリ側の異議申し立てにより2試合に変わる。放出を匂わせた所属クラブであるマインツは、事件前から考えていたとニュアンスを変えた。また、ハラには挑発行為以外に問題発言疑惑も浮上。そして、カバーニが黙っているにも関わらず、ゴディンが事件に対するコメントを出す。おまけに、スアレスの挑発的な発言という別件まで飛び出した。荒れた試合から1週間が過ぎても、問題が次から次へと湧いた。人々の目にハラはどう映っているのか。「フェアプレーの精神」に反する行為は、課せられたペナルティ以上に世論の圧力が重い。ピッチに立てば、相手や場所を問わず大音量のブーイングを浴びる可能性もある。時を経て落ち着いたとしても、対ウルグアイ、対カバーニでまた呼び起こされる。その時「あんなこともあったな」と思えたら、圧力は楽しむ要素に変わる。因縁と遺恨は「エンターテイメント」のひとつとして成立している。6月24日を境に、チリ代表ゴンサロ・ハラは有名人になった。やってはいけないことはした、その記憶は人々から消えない。だが、苦しい日々の向こうには、明るい未来が待っている。耐えた先にはヒールとしてスターになりうる可能性が待っている。でも、またやったら……もうやっちゃいけないよ、ハラ。

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